実際に「いじめ」の事例を考えてみればわかるでしょう。「いじめ」に遭う生徒がそこからどう回復するかという問題は、「いじめ」に遭った場合にどう生き延びるか、という処方箋には終わりません。どれだけ困難であろうと、そこにはじまり、さらに、どうすれば「いじめ」る社会の硬直がほぐれ、「いじめられ」る生徒の心の硬直もまたほぐれる形で、社会と生徒の双方が再生することを通じ、彼と社会の関わり合いをもう一度作れるようになるか、という最終的な課題がそこには含まれています。
(加藤典洋『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011 下』「第三部 中期 孤立と危機」「第11章 村上春樹、底を打つ。」 ちくま学芸文庫、2019年)
(加藤典洋『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011 下』「第三部 中期 孤立と危機」「第11章 村上春樹、底を打つ。」 ちくま学芸文庫、2019年)
0 件のコメント:
コメントを投稿