山田 何作目かで『ペール・ゴリオ』という鍵になる作品を書いたとき、その構想が生まれたんです。一八三五年のことですが。
鹿島 『ペール・ゴリオ』でなぜその着想を得たかというと、主人公の一人としてラスティニャックという人物が出てくるんですけど、この人物は、『あら皮』って前に書いた小説の中ですでに出てきた人物なんです。その人物をもう一回使ったことで、人物再登場法というのを思いついた。前に端役だった人物を、今度は主人公として使うというアイディアです。しかも同じ人物の後日譚ではなく、前日譚を語るという形にしたんです。『あら皮』の設定されているのが一八三0年で、『ペール・ゴリオ』が設定されているのが一八一九年だから、端役だった人物の、一一年前の学生時代に戻ってそういう人生を描く、そこで関連性を発見する。
(山田登世子・鹿島茂『バルザックがおもしろい』「対談Ⅰ バルザックはなぜ読まれてこなかったか」)
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