月と太陽──坂口安吾(2011.3.19)


2011年3月19日土曜日

月と太陽──坂口安吾

まずはコピペから。

dfnt ヨシナガ(僕秩) 
今夜は過去20年で一番大きい満月らしい。節電の夜に見上げる満月は、一生のうちで一番大きくて明るい満月になるかもしれないな。[NASA:Super Full Moon] http://1.usa.gov/hjAteI

坂口安吾の短篇「真珠」は、夜の物語である。

 馬鹿々々しいほど明るい満月が上りかけてゐた。

(1942年「真珠」青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/45872_30602.html

その後書かれた「白痴」は、「寒い」夜明けの物語だ。

 停車場の周囲の枕木の垣根にもたれて休んでいるとき、今朝は果して空が晴れて、俺と俺の隣に並んだ豚の背中に太陽の光がそそぐだろうかと伊沢は考えていた。あまり今朝が寒すぎるからであった。
(1946年「白痴」青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42621_21290.html

そして同年書かれた「戦争と一人の女」及び「続戦争と一人の女」は、昼の物語。
主人公たちが、太陽の下、自分たちの移ろいやすさを慨嘆する。

 私は彼と密着して焼野の草の熱気の中に立つてゐることを歴史の中の出来事のやうに感じてゐた。これも思ひ出になるだらう。全ては過ぎる。夢のやうに。何物をも捉へることはできないのだ。私自身も思へばたゞ私の影にすぎないのだと思つた。私達は早晩別れるであらう。私はそれを悲しいことゝも思はなかつた。私達が動くと、私達の影が動く。どうして、みんな陳腐なのだらう、この影のやうに! 私はなぜだかひどく影が憎くなつて、胸がはりさけるやうだつた。
(1946年「続戦争と一人の女」青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42904_23099.html

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