高橋 ある国の文学や文学史を俯瞰した時に、その国の文学と文学史の運命そのものを代行するような作家が時々いたりするんですよね。中上健次さんはそういった特殊な役割を意識的に果たそうとした人だと思うんです。
その一つは下の世代に対して抑圧的な父親の役割を果たすということです。以前、古井由吉さんが対談で話されたんですけれど、内向の世代からは作家が父親の役割を果たさなくなって、下の世代を抑圧しなくなった。(中略)それに対して憤ったのが中上さんで、「それは必要だ」って無理やり導入してしまった(笑)。
(柴田元幸・高橋源一郎『柴田さんと高橋さんの小説の読み方、書き方、訳し方』)
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