戯曲的な小説というより、自分がそういう場所に着目していたのかもしれない。
ランベール(新聞記者)はスペイン戦争の負けたほうの側に参加した経験がある。
以下、ランベールとリウーの会話。
「僕はもう観念のために死ぬ連中にはうんざりしているんです。僕はヒロイズムというものを信用していません。僕はそれが容易であることを知っていますし、それが人殺しを行うものであったことを知ったのです。僕が心をひかれるのは、自分の愛するもののために生き、かつ死ぬということです」
リウーは新聞記者の言葉を熱心に傾聴していた。そしてじっと相手を見つめていた目を放さず、彼はやさしくこういった──
「人間は観念じゃないですよ、ランベール君」
相手は、激情に顔を燃え上らせて、寝台からとび降りた。
このすこし後に、第二話のタルーにつづき、リウーのペストに対する態度、行動原理みたいなものが示される。割とだいじな感じもするが、再訪(再読)時に触れて、掘り下げたい。
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