ニューイヤーズ・イブのタイムズ・スクエヤー
〒 一九六一年一月七日
この手紙を首を長くして待っていられたことと思います。
タイムズ・スクエヤーのことを書く約束でしたね。もうだいぶ日がたってしまったので、思い出しながら書くのは時間が物凄くかかりますから日記を写します。
(……)朗らかなふくみ笑いだった。そこへ僕くらいの年頃の男達が五、六人どやどやと入ってきて "Happy new year!" とどなりちらした。この時間日本の電車の中でどなりちらすと「このやろう、やるきか、おい」なんて声に決っているが、さすがはアメリカだ。ただ "A happy new year." なのである。"Hey Mr.! A happy new year!" なんていって握手を求めてくる。騒がしいが決っして物騒ではない。
四二番街で降りてタイムズ・スクエヤーまで歩いた。電車の中で見た笛は皆が持っていた。街頭でそれらを売っていた。へんてこな帽子とかなんとかも売っていた。
(浮谷東次郎『俺様の宝石さ』 ちくま文庫、1985)
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