2012年8月8日水曜日

リリー・フランキー『美女と野球』感想(K)

身につまされたというか、目からウロコな箇所が多々ありました。

しかし、撮影当日、Mは来なかった。理由はその日もあるアイドルを追っかけて九州に行っていたからだという。素敵である。ボクはちょっと困ったが、なんだか大笑いしてしまった。もしMが自称映画通であったり中途半端な追っかけであったりしたら、その日は腰を四十五度に傾斜しながらイソイソと登場したであろうに、Mにとってベネックス君などはとるに足らん馬の骨なのである。オタクと呼ばれる彼らに一番感銘を受けるのはこの独自の価値観とセンスなのだ。
(「フランスのオッサン」)

Bが何かの話の中でヅラに「オマエって本当にオタクだよなー」と言った。それに対し「オレはオタクじゃないよ。オレの周りはみんなオタクだけど」と真顔で言ったのだ。差別や迫害を感じて腹を立てていたのって、もしかしてボクだけなんじゃないのかと。ヅラの言い方は名誉白人のそれだった。ニガーのプライドなど微塵も存在しなかった。(後略)
(「アミーゴと走った日々」)

0 件のコメント: