むかしむかし、ひとりの音楽家がいた。名前をマインといった。もし死んでいなければ、今もなお生きていて、またもや上手にトランペットを吹いている。
(中略)
この八百屋は自分にふさわしい死の形を求め、平衡のとれた死を見つけた。
(……)
装置の内部には白く塗った、光の強い四つの電球がついており、そのためオスカルはわざわざ飾り台にのぼって聖域を汚すまでもなく、ジャガイモ籠の上にボーイスカウト流の針金結びでつけられた厚紙の字を読みとることができた。
「七十五キロ(百グラム不足)」
(後略)
(グラス『ブリキの太鼓』「第一部:「信仰 希望 愛」」「第二部:「七十五キロ」」 池内紀訳 河出書房新社、2010年)
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