2015年10月25日日曜日

引用ノック0778:Qui-04;得たりや応

「(……)とにかくわたしの悲嘆というのはそんなに手短に、はしょって話せるようなたぐいのものではないし、話すべきでもないと思うのです。ひとつひとつの状況が、それぞれ長い話に値するように、わたしには思われるものですから。」
 これに対して司祭が、あなたの話を聞いていてうんざりするどころか、その脱線や細部がとても興味深い。それこそ話の本筋と同じほど傾聴に値するものだから、省略しないで話してもらいたいと応じた。

(セルバンテス『ドン・キホーテ 前篇(ニ)』 牛島信明訳、岩波文庫 2001年;27章におけるカルデニオと司祭の会話)

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