しかしスタンダールの弁護は、その当時の俗世間ではペーテルの弁護と同じく少しも成功しなかった。ペーテルが法廷で死刑の判決をうけたのと同じように、スタンダールもあらゆる文学の法廷で有罪の判決をうけ、無名のままほうむり去られた。彼の熱烈な弁護演説は、ここでもやはり誰の注意もひかず無駄に終わつた。偉大な精神的行為について、それが効果を生む生まないに拘らず無駄だつたといわれるかぎりにおいて無駄だつた。
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無駄だ、無駄だ、無駄だ。バルザックはあまりにもたびたびこの言葉を口にし、あまりにもしばしばそれを体験した。(後略)
(シュテファン・ツヴァイク『バルザック』水野亮訳、早川書房 1980年)
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