2013年8月21日水曜日

引用ノック0538:群盗訳者

「ゲッツ」模倣者の群が、雲のごとくむらがる風濤時代の文学の空に、流星のように現れ出たというこの作の自由奔放な言葉の一つびとつを、半月の努力によってやっと辿り終えた十何年前の僕は、快い読後の快感に湧き立ちながら、ノアの方舟のてっぺんの窓をひらくと、人影のない夜ふけの校庭にむかって、ながながと放尿した。
(久保栄「ノアの方舟」、一九三七年一月:シラー『群盗』岩波文庫版所収)

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