2010年12月31日金曜日

引用ノック0080:鶴見俊輔の発言01;世界像について

わたしは人間というのは破滅するものだと思っているし、個人として破滅するだけではなくて、人類の文明というのはつぶれていくものだと思うし、衰退して混乱が起こっていくだろうと思う。だから、完全に向かって努力して、どんどん進歩していくという像をもっていないんです。ただ、人間が生きているかぎり、できるだけ、少なくとも同じ死のなかでの助け合いはあったほうがいいし、それが同じ死のなかほど助け合えないにしても、存在そのもののなかでの、殺し合いをふくめたわりあいに愉快な関係というものはできないものか、と思うわけですね。

(鶴見俊輔『近代とは何だろうか』「民衆の姿と思想」)

0 件のコメント: