2010年10月23日土曜日

引用ノック0013:虫明亜呂無

野球ではなく(そちらの客はどうせ知れているから)競輪がある日に出すのだと〔屋台のおでん屋の〕おばさんは言っていたが、煙草を吸いかけて灰皿は、と訊くと、どうぞ、そのあたりの地面みんな灰皿ですから、という答えが返ってきた。とにかく川崎はそういつ街であり、川崎球場はいかにもその街に似つかわしく、しっくりと風景の中に収まっている。
(虫明亜呂無「カッコーの鳴く球場へ」『スポーツへの誘惑』1965年 珊瑚書房)

0 件のコメント: