『(……)すべては不鮮明なままだが、とりあえず私はこの状況のことをこれから〈スキャッターブレイン〉と呼ぶことにする。名前でも付けて、とにかくこの私の不安定な気持ちを少しは落ち着かせたいからだが、それだけではない。この訳のわからない、同じことを繰り返させられているような閉じ込められた感覚全体をひとつの名で呼んで"敵"だと考えないと、私は一歩も先に進めないと思うからだ』
(中略)
声は断定した。なんの迷いも韜晦もそこにはなかった。ただの事実の提示、それだけだった。
"君以外のものにはなんの意味もない。君を殺すためだけに出現している。他の者のイメージをいくら把握しても、ぼくを知ることはない。ぼくは君以外の誰とも関係がないのだから。君は、ぼくを見つけるためには、君だけの、君自身のイメージを摑まなくてはならない"
(後略)
(上遠野浩平『ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット』)
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