誰もズルなんかしたくないんだけど、立派なことしたって賞められないかわりにズルしたって咎められることもないと思えば、平気で人間は卑劣なことをするのである。実に、”平均的な人間”の人間らしさというのは、こういうものになるのである。
彼等は、こそこそと帰るのである。なんとなく、掃除当番をさぼってもいいだけの理由が自分にはある、という顔をして、こそこそと帰るのである。実に、一番掃除当番をさぼってこそこそと帰る人種は、ここなのである。一番平均的な、一番性格温順な人畜無害の人間こそが、実に一番こそこそとズルをするのである。働けば一番役に立つ人間というのもここなのであるが──なにしろその気になれば彼等は一番気がつく──一番さぼるのもここなのである。もう、気が滅入って来る。
(橋本治『革命的半ズボン主義宣言』「挑戦篇」)
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