2014年6月23日月曜日

引用ノック0626:処刑2

 銀の玉は、直径約三十センチ。表面には、たくさんの細かい穴があいている。押しボタンがひとつ、その反対側には、コップのさしこみ口。ボタンを押せば水がそのコップにたまる。
(中略)しかし、文明の利器には、かならず二通りの使い方がある。彼の持っている、また、いまこの星の上にいるすべての者が持っているこの銀の玉は、処刑の機械なのだ。もちろん、水は出る。しかし、ある回数以上ボタンが押されると、内部の超小型原爆が爆発し、三十メートルの周囲のものを一瞬のうちに吹きとばす。
 その爆発までの回数は、だれも決して知らされないのだった。

(星新一「処刑」『ようこそ地球さん』収録)

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