2014年4月13日日曜日

引用ノック0593:アキレウス01

 そういうヘクトルを、駿足のアキレウスは眉の下からぐっと睨み上げていうには、
 「憎みても余りあるヘクトルよ、わたしに向かって「取り決め」などとふざけたことをいうでない。(……)身につけたあらゆる武芸を思い出せ。今こそおぬしが槍の遣い手として、また果敢なる戦士としての面目を示さねばならぬ時なのだ。(……)おぬしが猛り狂って槍で仕留めたわが戦友たちの悲しみを、皆いま纏(まと)めて償うことになるのだ。」

(ホメロス『イリアス』 松平千秋訳)

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