そこなる山べに、おびただしき豚の群れ、飼われありしかば、悪霊ども、その豚に入ることを許せと願えり。イエス許したもう。悪霊ども、人より出でて入りたれば、その群れ、崖より湖に駆けくだりて溺る。牧者ども、起りしことを見るや、逃げ行きて町にも村にも告げたり。人びと、起りしことを見んとて、出でてイエスのもとに来たり、悪霊の離れし人の、衣服をつけ、心もたしかにて、イエスの足もとに坐しおるを見て懼れあえり。悪霊に憑かれたる人の癒えしさまを見し者、これを彼らに告げたり。
(ルカ福音書、第八章三二-三六節:ドストエフスキー『悪霊』エピグラフ、新潮文庫江川卓訳)
0 件のコメント:
コメントを投稿