「(…)彼は完全に僕のコントロール下にある。ところが、彼は僕についてほとんどなにも知らない」
(中略)
「ああ、それで彼は僕の居所をさぐりあてたに違いない。(…)だれかが彼に、僕は海岸の贅沢なホテルにいると言ったのだろう。ここみたいな」
「あらっ」クリスティーヌが言った。「そこはくわしく話さなきゃだめよ。われわれがシナリオの人物ですからね」
(中略)
「すると、ある瞬間、僕がその男を見る。そいつは奥の、テラスの向う側のテーブルにいる。僕のほうを向いていて、僕たちは顔をあわせる。(……)」
(後略)
(アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』 須賀敦子訳 白水Uブックス 1993年)
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