2013年9月13日金曜日

引用ノック0540:別れの気分

どうしてそんなとこにぐずぐずしてたかというと、実は、その、別れの気分といったようなものを味わいたかったからなんだ。今までいろんな学校やなんかをやめて来た僕なんだけど、みんな自分で知らないうちにやめちまったみたいな感じなんだな。そいつがいやなんだよ。悲しい別れでも、いやな別れでも、そんなことはどうだっていいんだ。どこかを去って行くときには、いま自分は去って行くんだってことを、はっきり意識して去りたいんだな。そうでないと、なおさら気分がよくないもんだぜ。

(サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(新装版) 野崎孝訳、1985年、白水社)

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