2012年4月4日水曜日

引用ノック0397:根付け(携帯)

明治の留学生だった高村光太郎は、おなじ根付けを見て、劣等感に悩んだらしい。こんな根付けなどに精魂をかたむける日本の彫刻師をはずかしく思い、自分は彼らからはなれてヨーロッパ近代の芸術家に伍して作品をつくってゆきたいと心にちかった。そのようにしてロダンやロマン・ロランに傾倒した高村光太郎が、日中戦争の半ばまで来て急に日本の軍国主義にくみして、国民をはげます詩をは書きはじめたことは、ここに復習する必要はない。
(鶴見俊輔『太夫才蔵伝 漫才をつらぬくもの』)

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