2011年11月2日水曜日
引用ノック0292:私はこれがこわかった! ──杉作J太郎の発言006
(前略)
信じられない展開に球場は騒乱状態になった。
ぼくはそれを環八走る車のカーラジオで聴いていたが、危うくハンドルを切り損ねそうになった。マイクが拾うことのできる音量を超えたのか声とも騒音ともつかない音がガーッとスピーカーから流れてくる。
日本シリーズ第5戦。誰がこのような展開を予想しただろう。まさかここで完全試合が達成されそうになろうとは。誰も予想してなかったし、予想できることではなかった。
誰もが史上初の快挙が成し遂げられようとしている状況に固唾を飲んでいた。
おや、落合監督が出てきました。なんでしょうか。交代ですか? まさか。まさか! 投手交代です。岩瀬! 岩瀬をマウンドに送ります! 降りますか? 山井がマウンドを降りますか? 交代です! なんとここで投手の交代です!
言葉はもちろん正確ではないが、おそらく実況のアナウンサーはそう絶叫していた。騒乱状態の球場。ぼくもアタマの芯が痺れた気がした。そのとき、関根さんはうめくように言ったのだ。
「私はこれがこわかった!」
関根さんはこのような展開を予想していたというのだろうか。ぼくは信じられない状況プラス信じられない関根さんの言葉にアタマがぐらぐらした……。
あれから2年半がすぎたが、そのときの関根さんの言葉は声色、リズム、すべてがアタマの中に刻まれている。刻み込まれたままだ。おそらく生涯、忘れることはないのではないか。そう思う。
(後略)
(「私はこれがこわかった!」『杉作J太郎のすべて幻』より)
http://www.houyhnhnm.jp/blog/sugisaku/2010/05/post-3.html
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