2011年9月8日木曜日

引用ノック240:「仲間」の「排斥」;分け前と持ち分

「ロマーニャの人がいった
『仲間』の『排斥』とは何の意味ですか?」

先生が答えた、「彼は自分の最大の欠点の罰が
身に応えているから、人がその罪に泣くことのないよう
説教をしているのだ。だから驚くには当たらぬ。
仲間がいると分け前が減るようなものに
おまえら人間の欲望が集まると、
嫉みが鞴を吹くから溜息がもれてくる。
だがもし至高天を慕う心がおまえらの望みを
上のほうへさしむけてくれるなら、
仲間を怖れる気持は胸中から消えうせるだろう。
天では『われらのもの』という人がませばますだけ、
各自の持ち分もふえ、またそれだけ
盛んに愛の火がその僧院で燃えるのだ」

(ダンテ『神曲 煉獄篇』「第十五章」 河出文庫、平川訳)

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