2010年12月15日水曜日

引用ノック0063:利害と愛──秋山駿『神経と夢想』

 人と人を結び合うのは、利害(社会)であるが、しかし、人は、利害を無視して結び合うことがある。その最後の結び目を指して、人はそれを「愛」と言う。その愛の背後には、何かしら「神」のようなものが隠されて在るのではないか? と人は思っている。しかし、果して本当にそうなのか? というのが、ラスコーリニコフの問いであった。殺人を犯してまでの問いであった。

(秋山駿『神経と夢想──私の『罪と罰』』第三十五章 2003年、講談社)

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