そのうち、窓の外は秋の夕暮れでオレンジ色に染まっていく。
古びた商店が何軒か並んでいるだけの寂しいバス停でまた何人かの乗客が降りる。その繰り返しがいつまでもつづく。早く長岡に着かないか。最初のうちはそう思ったが、そのうち焦っても仕方ないと思い直した。バスの外を見ると、ススキが道路のきわにずっと連なっている。そして初老の客がまた一人降りていく。
どこまでもつづくススキとオレンジ色の夕陽。あれほど長く、そして甘美なバス旅行は後にも先にもない。このままずっとバスに揺られていたい。そう思いはじめたとき、バスは長岡の市街に入った。三条を発って一時間が過ぎていた。バスの乗客は五人だった。
(亀和田武『どうして僕はきょうも競馬場に』「競馬場へはバスに揺られて 三条、姫路」 本の雑誌社、2008年)
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