最初の主題。仮面をつけた男(1)。
長い旅に出たあとで、その男は仮面をつけて帰ってくる。劇の最後までかれは仮面をつけたままだ。どうして? それが主題だからだ。
(中略)
あるいは二人の女がいる。一方は仮面をつけたかれを愛している。それは、そうしたかれが彼女の好奇心をそそるからだ。それからもう、二度とかれを愛さなくなる。《あなたは頭で私を愛していたのね。お腹でも愛してもらいたかったわ。》 もうひとりの女もかれを愛している(この方は仮面をつけていようといまいとおかまいなしに。そして、その後も変らない)。(後略)
注(1) 『誤解』の最初の腹案。
(アルベール・カミユ『太陽の讃歌 カミユの手帖─1 1935-1942』「第三部 一九三九年四月から一九四二年二月まで」新潮社、高畠正明訳)
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