2013年12月7日土曜日

引用ノック0559:心孤独狩人03;コープランド医師とジェイク・ブラウント

ようやく彼は言った──「これはわたしの忠告ですが、自分ひとりで立とうとせんことです」
「しかし──」
「しかしも何もありません。人間にとってっとも致命的なことは、ひとりで立とうとすることです」と、コープランド医師は教えさとすように言った。
「おまえさんの言おうとしてることはわかるぜ」
(中略)
「白い──」とまで言って、コープランド医師の言葉は出なくなってしまった。やっきとなったが、声は出てこない。やっとのことで、喉をしめられたようなささやき声をしぼり出すことができた──「悪魔め」
(後略)

(マッカラーズ『心は孤独な狩人』「13」、新潮文庫)

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