2013年1月5日土曜日

引用ノック0486:愛すれど心さびしく

実は、原作には、映像化不可能と思われるエピローグがある。
ミックは音楽の夢を捨てずに厳しい現実と戦っていこうと決意する。そんな事の成り行きのすべてを見守っていたのはシンガーの行きつけの食堂の主人ビフだった。深夜、店じまいの時、ビフは突然、雷に打たれたように、「無限の時のなかの人類の営み」を一瞬で見渡してしまう。それは愛と勇気と苦闘の歴史だった。しかしその直後、人類のこころみが挫折してゆくヴィジョンが彼を襲う。
[ビフ]人類は苦しみ続けなければならないのか? おれは何をするべきなのか?
(後略)

(町山智浩『トラウマ映画館』「誰でも心は孤独な狩人 『愛すれど心さびしく』」)

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