2012年2月7日火曜日

引用ノック0363:アウスナーメ(携帯)

「(……)『俺はたった独りだ。彼等はみんなだ。』と此の奇妙な男は述懐している。そしてまた、「彼等は皆愚劣だった。まるで眠っている時のようにみんなお互に似ていた」とも言っている(「地下生活者の手記」二、一)。ドストエフスキーの場合でも、此の絶対的な自我孤立の意識から、何人によっても、何物によっても慰められることのない恐るべき苦悩が生じ、更に所謂「例外者[アウスナーメ]」(Ausnahame)特有の驕慢心が生じてくる。
(井筒俊彦『露西亜文学』「第五章 レールモントフ」)

0 件のコメント: